aotamitsuhiro.jpbicicletafotootro
2008/5/17 ウェブログより転載

2007年春、バルセロナ滞在

 2007年3月15日から4月14日にかけて、観光と語学研修のためバルセロナに滞在したときの記録です。また、写真のページに、そのとき撮った写真を置いてあります。

2007年3月27日

 私は今、バルセロナにいます。

 スペイン語をほとんど話すことができない状態でバルセロナに来てしまいましたので、語学学校のコンピューターを使うのに、申請が必要なのかどうかを聞くことができずにいましたが、どうやら勝手に使って良いようです。10日目にして、はじめてインターネットに触れました。メールには、まだ手をつけていません。

聖家族贖罪教会

 今回は、ガウディの設計した建物を見るついでに、スペイン語も習ってしまおうということで、4週間バルセロナに滞在します(もう一週間過ぎました)。平日は午後2時半まで授業があり、その後に町を歩いています。バルセロナの町には、ガウディやモンタネールの著名な建物以外にも、目を惹く建物がたくさんあります。特に、町のあちこちにある教会は、日本ではあまり見ることの出来ないものなので、思わず立ち止まって眺めてしまいます。

Sant Francesc De Sales

 あと3週間。どうにかスペイン語を話せるようになって、日本に帰りたいものです。

2007年3月28日

 バルセロナでの一日(平日の場合)

 朝5時頃に起きて、授業の復習をしたり、撮った写真の整理をします。こちらには5年くらい前の iBook を持ってきたのですが、500万画素の写真を何枚も開くと、動作が遅くなります。朝にシャワーを浴びるときは、6時過ぎに浴びます。朝食は8時45分頃で、カフェオレとパンを食べます。

 朝9時半までに登校し、午後2時半までスペイン語を習います。授業はすべてスペイン語で行われますが、同じクラスに中国から来た四人組がいるので、中国語も飛び交います。ヨーロッパから来た人たちは、みんな英語をペラペラ話します。

del PI

 授業の後は町を歩きます。雨も降ることがありますが、たいてい晴れています。(上の写真のような)街角のパン屋さんでチョリソーやハムが挟まったボカディーリョを買って昼食にすることが多いです。お金を節約するために町歩きは専ら「歩き」で、メトロなどはめったに使いません。
 町の中も見所が多いですが、モンジュイックやグエル公園を登っていくとバルセロナの町を一望することができます(下の写真はモンジュイックのパラシオ前から)。

Palau Nacional

 夕方に部屋に戻って、少しだけ授業の復習をしてから、休みます。本当は予習をしていきたいところですが、いまのところ追いついていません。夜9時頃に夕食があるので、ノコノコと起きていきます。夕食後は、これまた少しだけ授業の復習をしてから眠りに就きます。(翌朝につづく)

2007年3月30日

 アシャンプラ

 バルセロナの町は、14世紀前後に建てられた聖堂などが残る「ゴシック地区」を中心とする旧市街と、19世紀以降に整備された「アシャンプラ」と、それ以外の地区に大別されます。ガウディやモンタネールが設計した建物はどちらの地区にもありますが、ガウディの作品として有名なサグラダファミリアやカサミラなどはアシャンプラにあります。

 アシャンプラは、道路が碁盤の目のように走っていて、そのほとんどは一方通行になっています。大通りは両側通行で、中央に複数の車線と、その両側にバス用や自転車用の車線と歩道があります。いくつの区画を歩いたかを把握していれば迷うことはないはずですが、斜めに走っている道も数本あるので、私のように迷うこともあります。

Paral-lel

 アシャンプラの中心寄りの区域は、建物の外観が洒落ていて、高さも揃っているので、特に有名な建物でなくても見ごたえはあるのですが、歩道には犬の糞がよく転がっているので、少しだけ注意が必要です。
 大通りは歩道が広く整備されているので、気持ちよく歩くことができます。とくにカタルニア通りは歩道が中央にあり、海側はカタルニア広場やランブラス通りにつながり、山側には山が見える(当たり前ですが)ので、散歩するにはとても良い道路だと思います。その一本隣りを走るグラシア通りは、とても広い道路で、カサバトリョやカサミラはこの通りにあります。
 サグラダファミリアもアシャンプラにありますが、中心からは少し外れています。町の中心からサグラダファミリアへ行く場合は、メトロを使う人が多いようですが、私の場合は歩いていきます。

(二枚の写真はアシャンプラのものです。特に有名な建物ではないと思います。)

2007年4月2日

 ゴシック地区

 19世紀以降に整備されたアシャンプラに対して、ゴシック地区には14世紀前後に建てられた建物が残っています。また、ピカソ美術館や、モンタネールが設計したカタルニア音楽堂などもゴシック地区にあります。
 特に有名なのが、カテドラルとサンタマリアデルマールで、薄暗い建物の中にステンドグラスから光が差し込む様は、思わず息を呑むほどです。

 カテドラルは観光客と教会利用者でいつも一杯ですが、サンタマリアデルマールは少し落ち着いていて、とても良い雰囲気です。建物もサンタマリアデルマールのほうが簡素で、私はこちらのほうが気に入っています。なお、教会の中では多くの観光客が写真を撮っていますが、あまり前の方で(教会利用者の目障りになるようなところで)写真を撮っていると、私のように教会の人から注意されますので気を付けてください。

Plaza Comercial

 アシャンプラの道路が碁盤の目状に整備されているのに対して、ゴシック地区は細かい路地が方々に走っていますので少しわかりづらいですが、それほど広くはありませんので、いくらか歩いていると大通りや広場に行き着きます。ただし、薄暗くて怪しげな道もありますので、どこを歩いてもいいかと言われると、なんとも言えません。
 カタルニア広場から海に向かって伸びる広い道(ほとんどが歩道)がランブラス通りです。休日には(何だかよくわからない)大きな人形が練り歩いたり、祭日にはキリストを祭った行列が通り抜けて行ったりします。この通りの海に近いところには、画家たちが即興で絵を描いたり、絵を売ったりしています。見ているだけでも楽しめます。

2007年4月5日

 バルセロナの本屋さん(Librerias en Barcelona)

 日曜日、月曜日、火曜日の三日間は午後に雨が降り、町歩きはほとんどできませんでしたが、水曜日は雨が降らず、久しぶりに歩くことが出来ました。カサミラに入ろうと思って行ってみたのですが、入場待ちの列が長く延びていたので諦めて、本屋さんに入りました。

 バルセロナは大きな町なので、本屋さんも大きなお店がいくつかあります。まず入ってみたのが、グラシア通りの右側(山に向かって)にある「Casa del Llibre」。入り口はそれほど広くないのですが、中は広く、車椅子用の坂が縦横に走っていて、面白い作りになっています。奥の方にいくと別の通りへの出入り口がありました。
( foto : La libreria [ Casa del Llibre ] esta al lado de Passeig de Gracia. Es grande. Y el estructura interior es interesante. )

Casa del Llibre

 次に入ったのが、カタルニア広場のすぐそばにある「fnac」です。こちらは三つほどの階に分かれていて、一階に雑誌、二階に DVD やゲームソフト、電気製品などがあり、三階に本が置かれていました。
( foto : La libreria [ fnac ] esta al lado de Plaza Catalunya. Es grande tambien. Hay libros, revistas, DVDs y otros. )

fnac

 大きな本屋さんに入ると、必ずと言っていいほど日本食についての本が置かれています。fnac では、日本食全般を紹介している本と、寿司の作り方の教本(DVD付き)が平積みされていました。
 自転車に関する本も探してみたのですが、あまり多くありませんでした。あったらあったで、百年史のような大きな本になってしまい、買って帰りたいと思うような本は、まだ見つかっていません。

2007年4月10日

モンセラット( Montserrat )

 休日にモンセラットへ行ってきました。モンセラットというのは、バルセロナから比較的近い場所にある山です。モンセラットへ行くには、まずバルセロナのプラサエスパーニャからカタルニア鉄道( FGC )に一時間ほど乗って Monistrol de Monserrat 駅で降ります。その駅が登山鉄道の始発駅になっていますので乗り換えて、モンセラット駅まで20分弱です。

 この日の朝、登山鉄道の麓の駅では霧がかかっていて視界は良くなかったのですが、あるところまで登って行くと視界が開け、車窓から雲海を眺めることが出来ました。
 モンセラット駅で登山鉄道を降りると、駅の正面に大きな聖堂があります。聖堂の基礎の部分に入っているお土産屋さんやカフェテリアが真っ先に目に入るかもしれませんが、その一段上にあるのが大聖堂です。このような大きな建物が山の中にあるということが信じ難いほどの立派な聖堂です。内部の装飾も下界同様に凝っています。
( foto : Hay una iglesia grande en la montanya. Es increible ! )

La Iglesia de Montserrat

 モンセラット駅からは、黒いマリア像が発見されたという場所までの歩道が整備され、普通の靴で歩いて行くことが出来ます。この歩道は眺めが良く、また山側には幾つもの彫像があります。道の終わりに、黒いマリア像が発見されたという場所があり、礼拝堂のような建物に囲われ、(おそらく複製品の)黒いマリア像が置かれています。
( foto : La Santa Cova. Se tarda andando 20 minutos de la estacion Monserrat a la Santa Cova. )

La Santa Cova

 午後一時から、聖堂で修道院の少年たちによる合唱を聴くことが出来ました。聖堂の扉には写真撮影禁止の印が貼ってあるにもかかわらず、多くの観光客がパシャパシャと光を焚いて写真を撮っていました。ちなみに、この日、わたしのデジタルカメラは早々に電池がなくなり、数枚しか写真を撮ることが出来ませんでした。もちろん、聖堂の中では撮っていません。

 モンセラットは本当に良い場所でした。もし機会があれば、その時は Monistrol de Monserrat 駅から歩いて登りたい、と思いました。

2007年4月19日記す

 コロニア・グエル( Colonia Guell )

 4月6日の金曜日にコロニア・グエルへ行ってきました。この週は聖週間で、この地方の人たちは、まるまる一週間休むそうですが、語学学校は週単位で授業料を取っているので、この金曜日と翌週の月曜日が休日となりました。4月に入って天気の悪い日が続いていたのですが、この四連休は曇り時々晴れで、雨に降られることはありませんでした。

 コロニア・グエルは、建築家ガウディのパトロンとして有名な実業家グエルが、居住地区として開いた町です。バルセロナのプラサエスパーニャからカタルニア鉄道に乗って20〜25分、コロニアグエル駅で降ります。とてものどかな場所です。住宅の中には特徴のある家もありますが、ほとんどは普通の家です。

Colonia Guell

 この家並みも趣きがあって良いのですが、わざわざ片道1.85ユーロを払って訪れる理由は他にあります。それがコロニアグエル教会です。
 この教会はガウディが設計したものなのですが、未完成です。サグラダファミリアは今も建設が進められていますが、こちらは着工後6年で中断されたそうです。下から一層目しか出来ていませんので、外から見ると「変な形をした小さな礼拝堂」くらいにしか思えないかもしれませんが、中に入ると、その力強さや構造的な妙味を味わうことが出来ます。教会の中は撮影禁止です。

La Iglesia

 この小さな教会は、一方で大きな学術的価値を持つとされているのですが、それはこの教会が「ガウディによる逆さ吊り実験の成果物である」という事実に拠ります。ガウディは、建造物がその自重に耐える最適な形を求めるために、建造物の質量の偏りと同じような配置で布に錘りをぶら下げていく実験をしたそうです。下の写真は、その実験を再現したもので、サグラダファミリアの地下室に展示してあります。これを見てから、コロニアグエルへ行くと、理解が深まると思います。(写真は180度回転させてあります。手前にガラスがあり、他のものが映り込んでしまいました。)

en La Sagrada Familia
2007年4月16日記す

 バルセロナから帰ってきました( Volvi a Japon. )

 バルセロナでの観光と語学研修を終え、この日曜日に日本へ帰ってきました。飛行機が遅れたこともあり、バルセロナのホームステイ先を出てから自宅(埼玉県)に着くまで22時間かかりました。土曜日の朝9時に迎えの車に乗り込み、翌日曜日の午後2時に自宅に辿り着きました(この時期のスペインと日本の時差は7時間です)。

 スペイン語を話せるようになったかというと、まだなっていないのですが、毎日歩いて、勉強して、食べて、寝て、無駄な時間のほとんど無い、とても充実した四週間でした。当初、観光を主たる目的として、語学はおまけのつもりでバルセロナヘ行ったのですが、毎日接するクラスの友達や先生、ホームステイ先の人たちと少しでも話せるようになりたいと思うようになり、スペイン語の勉強もそれなりにしました。しかし、町歩きの時間と寝る時間を優先したので、今思うと、もう少し勉強にも充てるべきでした。
 また、バルセロナで教科書や本、家族への土産物などを買ったため、それらをスーツケースへ納めるのに苦労しました。下の写真にある手提げ鞄と小さなスーツケースが、私の持って行ったすべてなのですが、日本に帰るときは、バルセロナで買った本を手に持って飛行機に乗りました。

mis maletas

 語学学校は「Enforex」というところに通ったのですが、ここを運営している会社は、バルセロナの他にもマドリッドやセビーリャ、バレンシア、グラナダなどスペイン各地に学校を持っていて、さらに南米にも学校があるようです。生徒の中には、Enforex の他の学校で学んだ課程の続きをバルセロナで勉強している人もいました。校舎内は清潔感があり、インターネットに接続するためのコンピューターがとても古めかしいことを除けば、不満に思うことはありませんでした。どちらかと言えば、彼らの方が私のスペイン語能力の低さについて不満を持っていたのではないでしょうか。
 そのようなわけで、これからもスペイン語の勉強を続けて、話せるようになって再びスペインを訪れようという思いを胸に秘め、私は日本へ帰るのでした。

 バルセロナの空に、ひとすじの飛行機雲を残して。

Teatre Mercat

 (ちなみに、私がバルセロナを発った日の天気は、雨でした。)

2007年4月23日記す

 バルセロナ自転車事情

 日本へ帰る日の朝、空港まで送って下さった運転手さんと話しました。
(私)「バルセロナでは、自転車競技は盛んではないのですね?」
(運転者)「そうだね。盛んじゃないね。」
(私)「バスク地方のほうが盛ん?」
(運転手)「うん。バスク地方では自転車競技が盛んだね。」
 そういうわけで、バルセロナで最新のロードレーサーが走っている光景を目にすることは稀です。では、バルセロナが(自転車乗りから見て)全く感心できない町かというと、実はそうでもないのです。

[ 市街地での移動 ]
 日本では通勤のために自転車に乗る人が多く、駅の近くの駐輪場には、おびただしい数の自転車が集まってきますが、バルセロナでは通勤に自転車を用いる人の割合が低く、あまり見かけません。しかし、主要な道路の車道や歩道の一部に自転車通行帯が確保されており、他の道路も幅があるので走りやすいと思います。
 自転車利用者の大半は、街乗り用自転車かマウンテンバイクに乗っています。マウンテンバイクの銘柄は、DECATHLON、BH、ORBEA を多く見かけました。街乗り用では、AMAT、BH、ORBEA をよく見ました。これ以外に、時折、颯爽と走り抜けるスポルティフや古めのロードレーサーを目にすることがありました。

una bici roja

[ 鉄道への持ち込み ]
 滞在中、二度ほどカタルーニャ鉄道 Ferrocarrils de la Generalitat de Catalunya ( FGC ) に乗りましたが、この車両には自転車を吊るすことの出来る場所があります。日本の通勤電車にも座席が側面に収まる車両がありますが、その収納式座席が、自転車を吊るす設備の一部としても機能します。

Ferrocarrils de la Generalitat de Catalunya (FGC)

 また、地下鉄にも自転車をそのまま持ち込めるようです。実際に自転車と一緒に乗っている人がいました。

[ MTB と BMX ]
 スポーツ車の部類では、ロードレーサーよりも MTB や BMX で、より流行に乗ったものを見ることが出来ました。ロードレーサーに乗るような人は、郊外へ出かけて行ってしまうので、市街地で目にすることが少ないのかもしれません。

[ ロードレーサー ]
 平日に最新のロードレーサーを目撃することはほとんどありませんが、休日の朝には、おそらくこれから郊外へと走りに出かけるであろうロードレーサーを目にすることが出来ます。また、モンセラット(電車で一時間ほどの距離にある山)へ行ったときには、15分の間に、三組ほどのロードレーサーが登って来るのを見ました。
 プロロードレースは、たまにテレビで放送していました。また、主要なレースについては新聞で記事を読むことが出来ます。

 バルセロナは自転車競技が盛んでないとはいえ、大きな専門店(後日記す)もあり、環境も整っていて、自転車を趣味としている人は充分に楽しんでいると思います。バルセロナは都市なので、若者も多く、スケートボードやインラインスケートで移動している人もいます。観光客向けに屋根付き三輪車が走っていたりもします。

en frente del Catedral

 東京は人口密集度が高く、また市街地を走ることを楽しみとしている人も多く、ロードレーサーやマウンテンバイクに乗って走っている人をよく見かけます。それと比べるてしまうと、バルセロナには自転車乗りが少ない、と感じるかもしれませんが、それは楽しみ方と絶対的な人口の差だと思います。
 また、こうして東京を見直してみると、道路環境が良くないことを除けば、自転車乗りにとって、ずいぶん楽しい町であると思えてきたのですが、いかがでしょう?

bicicletafotoaotamitsuhiro.jp